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何をどうしたらそういう行動になるのか、いきなり頬を抓りだしたり雄たけびを上げる葛西に苦笑しつつも、意を決して誘ってみた。
正直なところ、めちゃくちゃ恥ずかしい。
なんで俺が葛西相手に恥ずかしいとか思わなきゃならないんだ? とか思わないでもないが。
なんというか。
折角野球するなら、誘ってやりたいと思った。
よく分かんねーけど、こいつが俺の野球してるのを見てきたとか言うし。
野球部が学校にないことくらいで落ち込むんだから、よっぽど好きなんだろうし。
……そう思ったら、なんか声をかけないのは居た堪れない気がしてきた。
そう、それだけ。
それだけのはずなんだけど。
どうにもこうにも、なんか恥ずい。
っつーかコイツ、瞬きもしないんだけど。
もしかして困ってるとか?
やっぱ、休みの日に誘うなんておかしなことしすぎたか?
色々思うところがあってモヤモヤする。
けど、それをやり過ごせるほど大人でもない俺は質問を重ねた。
「あー……迷惑、だったか?」
って超ヘタレかよ俺!!
誘っておいて速攻引くって、俺何やってんの?
なんで葛西相手にこんな―――なんて思っていたら、勢いよく顔を上げた葛西が、満面の笑みで俺に食らいつかんばかりの勢いで声を上げた。
「さ、さし、差し入れとかっ!! しても、いいんですよね! それってっ」
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