ズルい思考と欲と

14/31
前へ
/512ページ
次へ
 「いゃったーー!!」  と叫びたい気持ちが止まらない程の快晴に、私はガッツポーズを決めた。  仁王立ちで両手を広げて上げる。  まるで小学生みたいな喜び方だけど……ま、いいや。  それぐらい童心に返るほどに嬉しいんだってば!  朝7時から起きてお弁当作って、水筒に水分補給でおなじみの飲料水を用意した。  それから、先輩用に汗の吸収が良さそうな真っ白なタオル。    ―――うふふっ。  つい、声に漏れてしまうのを手の平で隠すけど、隠しきれない。  「友香、アンタの顔、気持ち悪い」  ……お母さん、私の顔はアナタ譲りですが、何か?  なんて思いつつ、るんるん気分でスカートの裾を伸ばしていたら、お母さんから横やりが入った。  「友香、今日は野球観戦に行くのよね?」  「そうだけど?」  「それ、間違ってるでしょ」  「え、何が?」  「だからね、スカートは、ちょっと」  「えぇえええ!」  学校以外で会うことないから、ちょっとは可愛い恰好したかったのに!  スカート禁止なの!?  涙目で訴えるも、お母さんは無言で顔をブンブン。  今日は風、冷たいからね、と。  はぁあああ……  ガクッと肩を落として部屋に戻って、いやいやジーパンに足を突っ込んだ。  だぁってさ? なんか、可愛さに欠けない? なんて。  思いながら履き終えてカーディガンを羽織っていたら、玄関のチャイムが鳴った。  ―――き、来たー!!!  一瞬前の憂鬱はどこへやら、私はテンション舞い上がって玄関まで走った。
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2485人が本棚に入れています
本棚に追加