ズルい思考と欲と

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 *  こいつは、どこへ遠足に行くんだ……?  俺の想像を超える荷物に、大丈夫か? と聞いてしまった。  本人は質問の意図が分からないのか首を傾げ、大丈夫ですと答えたが。  いや、隣を歩く俺が大丈夫じゃない。  葛西の家から出てきた母親は、聞かなくても分かるくらいにコイツそっくりで。  さぞや賑やかな家なんだろうって一瞬で分かった。  しかも第一声が  「ごめんなさいね。今スカート脱がせてるから」  って。  脱がせてるってなんだ?  とか思っていたらジーパン姿の葛西が満面の笑みで出てきた。    よく分からんが、スカートでないことにホッとした。  スタンドに立ってたら、ダメだろスカートは。    ―――しかし、俺が女連れてきたって、皆ビビるだろうな……  まだ誰にも葛西を連れていくことを言ってない。  そのことを今頃になって少し後悔する。  いや、言ってないことよりも、葛西に声をかけたことを、か?  なんて思いながらも、嬉しそうな葛西を見ると、どうでもいいかと思えた。  誰に迷惑をかけるでもなし、楽しんでる奴が一人増えたって問題ないだろ。      他愛もない会話をしながら、何度か荷物の多すぎる葛西に『持つぞ?』と提案するも拒否されて。  なんだか荷物持たせみたいな気分を抱きながら、近くのセンターまで15分の距離を歩いた。  隣の葛西は、いつもよりも少しだけ俺に近い距離で歩いている気がする。  遠慮がちでもなく、心底嬉しそうに「どんなところですか?」なんて尋ねる葛西。  「普通」  つまらないだろう返事をしながらも、そんな葛西を俺は、少しばかり可愛いと思えた。  *
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