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・おまけ・
『弁当、また作れよ』
おやすみなさい、と送った後に、いつもにはない言葉が付け足されていて、私は目を見開いた。
何度か見直して、目をこすりなおしたけれどやっぱり同じことが書いてある。
嬉しくてニヤニヤしながら
『ハイ』
って送ったら、先輩の笑う顔が浮かんできて……ちょっと調子に乗って、続けてメールを送った。
『先輩、私って先輩にとっての何ですか?』
怖くて怖くて、でも聞きたくて聞けなくて。
それでも一日中気になっていたこと。
今日の私は、ちょっと先輩に近づけた気がして。
だから思い切って聞いてみたくなって、震えながらそのメールを送信した。
5……10……20秒……そんなに早く返事が来るわけないと思いながらも、返ってくるまで緊張が止まらない。
しばらく手の中に携帯を握りしめたままベッドに転がっていると、ブルルルルッと震えた。
液晶画面には、メールの受信を知らせる通知が見える。
恐々メール画面を開くと、予想通りに相手は尚人先輩。
壊れそうな心臓の速さに耐えながら、私はゆっくりと文面を滑らせた。
『ただの後輩
よりは、ちょっと上』
何、この空白。
そうツッコみたい気持ちと同時に、先輩の優しさに顔が綻んだ。
「ちょっと、上……ただの、後輩じゃ、ない?」
嬉しくて顔が気持ち悪い気がするけど、そんな自分の顔なんて怖くて見られない。
だけど誰が見てるわけでもないのに、両手で頬を挟んでわざと自分の顔を潰した。
「ふふっ……えへへっ」
先輩にとって、突然現れた私という後輩は、厄介以外の何モノでもないかもしれない。
それでもやっぱり私は、先輩を追いかけたくてたまらなくなる。
『じゃあ、もっともっと上になれるように頑張ります』
そう最後に送って、私はぱたりと携帯を閉じた。
先輩からの返事はないけれど―――多分、先輩はバカって言いながら苦笑いしてるはず。
月曜日も会えないかな……そう祈りながら、私は眠りに落ちた。
(end)
先輩が優しいと思っている友香は、多分幸せです(笑)
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