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青年は、唖然として
目をパチクリしている。
『おや?
ご存知ありませんか?
ことわざ
というものなのですが?』
黒ずくめの男は
問いかける。
『…知ってる…』
青年は、
恐る恐る答えた。
すると、
黒ずくめの男は、
一瞬で青年に迫り
『そうですか!!
ご存知でしたか!!』
黒ずくめの男は、
興奮したように
声を張る。
青年は、
思わず後退りする。
『意味は、
ご存知ですか?』
いつの間にか、
さっきとは、
逆の位置の
手摺り部分に
立っている。
『!!!!』
青年は、驚き
黒ずくめの男の方を見る。
『ご存知ないですか?』
黒ずくめの男は、
何事も
無かったかのように
続ける。
『…えっと…
確か…
情けをかけると
その人の為にならない
っていう…』
青年は、自信なさげに
答える。
『では、あなたは
困ってる人を
放っておくのですか?』
黒ずくめの男は
いつの間にか
青年の後ろに立ち
問いかける。
『!!!』
青年は、思わず
コケそうになる。
『どうなのですか?』
黒ずくめの男は
構わず続ける。
『俺…は…
……ほっとけない…』
青年は、少し悔しそうに恥ずかしそうに答える。
『なぜです?
ことわざとは
風習や先人の教えなのでしょう?』
黒ずくめの男は、
疑問的な顔をする。
『ほっとけないんだ…
昔から…
困ってる人には、
手を貸さずにはいられないんだ…』
青年は、恥ずかしそうに答える。
『ふむ……
なるほど……』
黒ずくめの男は
ニヤリと笑う。
『あの…あんたは一体……!!!』
青年が声を
かけたときに
黒ずくめの男は
またしても
いつの間にか、
青年の背後の
階段にいた。
『やはり、人間は…
暇つぶしには
もってこいですね。』
黒ずくめの男は
そう呟いたが
青年には、聞こえなかった。
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