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曇り空の下
青年は、音楽を
聞きながら歩いている。昨日とは、違い
制服を着ている
今は、学校の帰りらしい
青年は、昨日
黒ずくめの男が
去り際に言った言葉を
思い出していた。
『あぁっそうだ
ここでお会いしたのも
何かの縁ですし
お名前を
お聞かせ
いただけませんか?』
青年は何故か素直に
答えてしまった。
『富永…晃一』
『では、トミーさん
私のことは、
言霊さんと
お呼び下さい
またその内
お会いしましょう』
黒ずくめの男、
改め
言霊さんは
そう告げると
富永が
まばたきをした刹那に
姿を消していた。
青年は、考えこんでいる
(何で俺、名前言っちゃったんだ?
てか、なんだよ
言霊さんって…)
そんな事を考えていると
泣き声が聞こえてきた
富永は、辺りを見回した
すると、泣いている
子供を見つけた。
富永は、
少し躊躇ったが
子供に駆け寄り
目線を子供に合わせ
『どうしたの?』
言葉をかけるが
泣いてばかりで
答えない
富永は、女の子を
撫でながら
『大丈夫だよ』
優しく声をかける。
女の子が
泣きながら
富永にひっつく
富永は、優しく撫で続ける。
その姿を
見つめる姿がある。
しばらくして
女の子は、泣き止み
迷子だった事がわかり
今、富永は女の子と手を繋ぎお母さんを探している。
すると、
後ろから
『うちの子から
離れて下さい!!』
30代半ばくらいの
女性が怒鳴り
富永から女の子を
奪い去るように
抱き寄せる。
『ちがっ……』
富永が
弁解しようとすると
『来ないで下さい!!』
そう叫び
走り去る。
女の子は、
手を振っていた。
富永は手を
振り返すことが
出来なかった。
富永は悔しそうな
顔をして
立ち尽くした
少し歩くと
上から
『トミーさん』
と言う声がして
上を見渡す。
街灯に立っていた。
『どうも、
昨日ぶりです』
笑顔で
富永に挨拶をした。
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