“気づく”大切さ

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「なぁ」   「なに」    なんだってこんな重い雰囲気なんだよ、一応今日は成人式っていう晴れの日だろ。  それを何で車内で二人、舞雪とこんな会話しかしてねえんだ。   「何怒ってんだよ」   「怒ってないわよ。この鈍感」    ホント鈍感。てかまず感想ぐらい言いなさいっての。晴れ着よ晴れ着、髪型だってメイクだっていつもと違うのに洋ってば何も言わないし。  いくら幼馴染みだからって。“綺麗”とか“可愛い”とか、そんな感想要らないから、せめて“似合ってねえ”とか悪口言ってくれた方がよっぽど気が楽なのに。  無感想は……辛い。   「っな、お前送ってもらう身で」   「頼んで……ないもん」    二十歳にもなって送っていきなさいって、どこにいんだよそんな親。うちらのバカ親だけだっての。  普通、同性の友達とかと待ち合わせて行くもんじゃねえのか。   「いい、私歩いてく」   「おっ、おい。いいよ送るから。着物はさすがに歩くのキツいだろ」    ほらっ、またそうやってさりげなく優しいんだから。  嫌いになりたくてもなりきれない。昔からそう、ずっとこんな事の繰り返しなのかな?  この先もずっと?   「う、うん。分かった。お願い」   「ったく。素直じゃねえな舞雪は」    あぁ……何言ってんだ俺は。舞雪もムッとした顔しちゃったじゃねえか。  素直じゃねえのはどっちだよ。こんな事言いたい訳じゃねえのに。   「洋の方が素直じゃないじゃん」   「はぁ? お前には負けるよ」    なにそれ、自分の事棚に上げて私の事ばっかり言いたい放題。
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