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「は? じゃあなに、今まで誰も好きになった事ないわけ?」
「ない……と思う。分かんないだもん、好きって気持ちが。そういう洋は?」
「おお俺? 俺は……俺も分かんない、かも」
「ムッ、じゃあさっきまで分からないのに私に説教臭くグダグダ言ってたわけ?」
「っ! カチーンと来ましたよ。分かんないって先に言ったのはどっちだよ! お前だって分かんないって言っておいてそうやって人の事は責めるんだな」
「だって」
「だってもへったくれもあるか」
「だって仕方ないじゃん! なに考えてもあんたの顔が最初に浮かんじゃうんだから!」
「っな、お前なに言って……バカじゃねえの?」
「バカなのは私が一番知ってるよ! でも仕方ないじゃないこういう女なの、洋だって……知ってるでしょ」
「いや、そりゃ……お、俺だってお前が他の男といると何かイライラするし、俺も分かんねぇよ!」
「嫉妬?」
「っ! あぁ、あぁ、あぁそうだよ嫉妬だよ! 他の男と居て欲しくないんだよ!」
「わっ、私だって! 私だって洋と一緒にいたい。一緒に笑って泣いて馬鹿やって、ずっと一緒にいたい」
そういう事か。
本当は物凄く単純で、素直で、一途な気持ちなんだ。
「なぁ」
「なに?」
「この二十年、舞雪に言えなかった事がある」
「うん、私も。洋海から言って?」
「あの……その、好き、かも」
「かも?」
「嘘、好きです」
「うん。もっと言って」
「ずっと好きだった」
「もっと、もっと言って」
「二十年、ずっと舞雪が好きだ」
「うん。うん」
「は、恥ずかしいからお前も言えよ」
「嫌っ、恥ずかしくて死んじゃう……かも」
「いや、ちょっ、お前もって、舞雪も言うからって俺は言ったんだぞ!?」
「私は言えなかった事があるって言っただけで……」
「だ、騙したのかぁ!」
「だ、騙される方が悪いんだよ洋海のバーカ。ずっとずっと大好きだってーの!」
一緒に居て、遊んで、笑って、泣いて、怒ったり、喜んだり、一緒に買い物したり映画見たりご飯食べたり。
互いに同じ時を共有していく。
そんな“幼馴染み”にも似た関係に。
俺たちは、
私たちは、
これからもずっと。
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