1章

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先輩の試すような視線がじっとりと私を見つめる。 すこし教室からはなれた部室で聞こえるのは、自分の尋常じゃないほど早くなった鼓動の音と 先輩と私の息づかいだけ。 「…」 眠たそうな目を擦りながら カタン。と椅子を引く音がこの空間には不自然すぎる音をつくると同時に、じりじりと先輩が近づいてきた。 先輩のなんともいえない雰囲気に思わず、一歩また一歩と下がるけど 気がついたら本棚にぶつかって本がパサッと虚しく、音をたてておちた。 先輩の深い茶色の瞳が狙った獲物を離さないように、私をじっ…と見つめる。 逃げられない…私は直感でそう感じた .
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