1章

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「あのっ!」 思いきってさっきよりもおっきな声をだして呼んでみると、 ちらっと私を横目で見て、不機嫌そうに起き上がってから、何も言わずに、いきなり私に近づいてきた。 そしていまの状況。 私を逃げ場のないところまで追いやった先輩は、満足そうにじっと私を見て、静かな笑みをうかべる。 そのいじめっこのような綺麗な笑顔に …ードクンと心臓が音をたてた。 目が離せなくてかなり近い距離で先輩を見てみると、さっきは隠れて見えなかったけど 栗色の少しふわふわした髪 きれいすぎるほど整った顔立ち まだ寝起きの少し細まった目が、 色気さえも感じさせる。 どこかの漫画の主人公のようなその容姿に、私は見惚れていたのかもしれない。 「かっこいい…」 そんな言葉が私の口をついて出ていた。 .
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