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――今の時間は夜の十一時。
よい子ならもう眠りにつき、いつもの俺なら風呂、もしくは予習や音楽を聴いていたりする時間だ。つまり、プライベートな時間ってこと。
なのに何でだ。
何で今、俺の部屋に由紀がいて、その由紀の手に怪しげなCDが握られているんだ。
「れーんっ。今日届いた新作、一緒に聴こーっ」
笑顔でベッドに座っていた俺に近寄る由紀。
顔を引き攣らせながら下がる俺。
…あぁ。
やっぱり、いつもと違う行動はするものじゃない。
そう思った瞬間だった。
――あれは数時間前のこと。
今日は生徒会もなく、早めに部屋に帰ってこれた。
由紀は部屋にいなくて、どうせならと風呂が混まない内にさっさと入ってしまおうと、気分を変えて風呂へ向かったのだ。
人混みが嫌いな俺は、大抵夜遅くに風呂に行く。
それ以外の時間に行くと皆と時間が被ってしまうからと最近は早い時間には風呂に行かないのに、何故か今日に限って気分を変えたくなってしまった。
そのせいで後に困ることになるとは知らずに。
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