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由紀の顔は僅かに緩んでいる。
このCDよりよっぽど気持ち悪いぞと、そう言いたかったが、さすがに傷付くだろうと思って口を引き結んだ。
何十分間そうしていただろうか。
漸く終わったCD。
短かったのか長かったのか、時間の感覚すらもよくわからない。
「ど…どうだった?」
僅かに紅潮した頬で俺の顔を覗き込む由紀。
何でお前まで顔赤くしてるんだ。
お前まで恥ずかしいのか、それとも、俺に聞かせるのがそんなに緊張するのか。
そう思いながら由紀と目を合わせると、由紀が何故か驚いたような表情を浮かべて息を呑んだ。
「な、何…んっ」
――押し付けられる唇。
すぐに離れたソレは、一呼吸も置かずに今度は額に降ってきた。
「そんな顔して…、無意識?それとも誘ってる?」
「そんな顔…?何、何で、急に…」
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