28. 朝日とともに

4/8
前へ
/449ページ
次へ
「・・・ふぅ。」 手紙を書き終えたオレは、机の上にペンを置くと、小さく息を吐いた。 その吐いた白い息で、エアコンを入れてなかった事を思い出した。 「ま、今さらエアコン入れても仕方ないか・・・」 オレは一人ごちると、和希に寄り添うようにベッドに横たわった。 柔らかい髪を梳いて頬に触れる。 相変わらず氷のように冷たい彼女の頬に、この世の終わりを見たような気がした。 「・・・和希。」 もう何度口づけただろう・・・ その桜色の唇に、そっとキスを落とした。 (「眠り姫」だったら、ココで目を覚ますんだよな・・・) そんな事を思いながら時計に目を向けると、手紙を書き終わってから早くも20分が経過していた。 (・・・もう、時間だ。) オレはベッドから下りると、用意していた剃刀を手に、袖口を捲り上げた。 部屋中の冷気が、一気に腕を伝って体を駆け巡る。 あまりの寒さに一瞬気後れしたものの、意を決して剃刀の刃を腕に押し当てた。 これで、オレの人生は終わる・・・ ・・・その時
/449ページ

最初のコメントを投稿しよう!

991人が本棚に入れています
本棚に追加