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「・・・ふぅ。」
手紙を書き終えたオレは、机の上にペンを置くと、小さく息を吐いた。
その吐いた白い息で、エアコンを入れてなかった事を思い出した。
「ま、今さらエアコン入れても仕方ないか・・・」
オレは一人ごちると、和希に寄り添うようにベッドに横たわった。
柔らかい髪を梳いて頬に触れる。
相変わらず氷のように冷たい彼女の頬に、この世の終わりを見たような気がした。
「・・・和希。」
もう何度口づけただろう・・・
その桜色の唇に、そっとキスを落とした。
(「眠り姫」だったら、ココで目を覚ますんだよな・・・)
そんな事を思いながら時計に目を向けると、手紙を書き終わってから早くも20分が経過していた。
(・・・もう、時間だ。)
オレはベッドから下りると、用意していた剃刀を手に、袖口を捲り上げた。
部屋中の冷気が、一気に腕を伝って体を駆け巡る。
あまりの寒さに一瞬気後れしたものの、意を決して剃刀の刃を腕に押し当てた。
これで、オレの人生は終わる・・・
・・・その時
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