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「・・・っくしゅん!!!」
っくしゅん・・・そう、東京の冬は寒いのだ。
ましてや、昨夜からエアコンを入れていないこの部屋の寒さでは、クシャミが出てしまうのも無理はない。
オレだって、クシャミの一つや二つ・・・って・・・は?クシャミ?
(・・・まさか?)
恐る恐る後ろを振り返ると、布団の中からニョキッと二本の腕が顔を出した。
「んー・・・よく寝た!」
「・・・か、和希ぃーーーッ!!」
生きてた・・・生きてた・・・和希が生きてた!
オレは、嬉しさのあまりベッドにダイブすると、寝起きでグズる和希を勢いよく抱きしめた。
「ちょ、ちょっと、亮!痛いってば!」
「ハハハっ!和希が生きてた!生きてたぞーーっ!」
「ちょっと!勝手に殺さないでよ!」
「だってオマエ、スゲー冷たかったし・・・」
「・・・当たり前でしょ!エアコン切ってあるんだから。まったく・・・今の室温、何度だと思ってるのよ!」
「・・・2℃だな。」
「・・・・・」
「いや、2℃です。」
「で?その手にしている物騒なモノは、いったい何なの?!」
お、そうだった!右手に剃刀を持ったままだった!危ない、危ない・・・
「まさかアンタ・・・くだらない事考えてたわけじゃないでしょうね?」
オレの頬っぺたをギュッと摘みながら睨む和希に、思わず息を呑んでしまった。
「・・・ごめん。」
その後の和希の説教がどれだけ怖いモノだったかは、あえて言わない。
あえて・・・いや、やっぱ言わないでおこう。
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