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「あれっ?・・・なくなってる・・・」
つい先日まであったはずの看板が消え去り、店の入り口には『貸店舗』の貼り紙が貼られていた。
「なんだよ、いなくなっちまったのかよ・・・ひと言あのインチキ占い師にオマエが生きてる、って事を教えてやりたかったのに・・・人を騙すのもたいがいにしろ、ってさ!」
後追い自殺などというくだらない事を考えていた亮にコンコンと説教を食らわせた後、今年初めての朝食を食べながら
「・・・あのババアに教えてやらないと気が済まねえ!」
そう言って、マグカップを握り締める亮について来たのはいいのだけど。
肝心の本人がどこに行ったのか分からないのでは、どうしようもない。
「しょうがねえ、帰るか!全然気が治まらねえけど!」
「うん・・・あ、そーだ!初詣に行って、その後、菜緒さんとこ寄ってかない?」
「あっ、ヤベっ、忘れてた・・・菜緒にオマエが無事生きてるって言うの・・・」
「・・・・・」
「たぶん、アイツ・・・・キレるな。」
そう言って、笑いながら大通りに出ようとしたその時、店の入り口の扉に小さな紙が挟まっているのに気が付いた。
「ねぇ、亮・・・コレ・・・って・・・」
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