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「・・・・・」
「あの人・・・やっぱり、本物だったんだ。」
入り口で立ち竦む私の脳裏に、今までの出来事が走馬灯のように駆け巡った。
もし、あの占い師に出逢っていなければ、亮も菜緒さんも峻さんも私の周りにはいなかっただろう。
そして、あいかわらず沙耶と二人で退屈な毎日を過ごしていたに違いない。
きっと・・・本当の亮に気付く事もなく。
「何だか、癪に触るな。教えるつもりが、逆にオレ達が教わった。」
「・・・フフフ。」
「何だよ。全然、笑うとこじゃねえだろ!」
「フフフ・・・何だかカワイイなぁって思って。」
「・・・どこが、だよ。」
「ホントは、感謝してるくせに・・・」
「・・・うるせーよ。」
そんな亮を横目に私が笑うと、彼は折りたたんだメモにそっと口づけてから小さな声で言った。
「・・・サンキュ。」
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