991人が本棚に入れています
本棚に追加
「沙耶・・・オマエ、全っ然チカラないのな。」
「うるさいわねぇ!私だって、一生懸命運んでるんだから文句言わないでよ!」
「オマエ、そんなんじゃ日が暮れたって終わらないよ?」
「おい、タモツ!いくらなんでも、それは言い過ぎ!」
「だって、亮・・・沙耶のヤツ、ホント使えないんだもんよ。」
亮の幼なじみのタモツくんも、今日は仕事の都合をつけて手伝いに来てくれているのだが・・・
「だいたいねー、何で私が初対面のアンタに呼び捨てにされなきゃいけないのよ!」
「だってオマエ、沙耶じゃねーかよ!」
子供のケンカというか、何というか・・・初対面にもかかわらず、ずっと二人はこんな調子で・・・
相性が悪いどころか、逆にものすごく相性が良いんじゃないか?って思うくらい、絶妙な掛け合いを続けている。
それは、言ってみれば「長年の夫婦」みたいな・・・(笑)
「ねえ、みんなー!峻さんから差し入れが届いてるから休憩しましょー!」
そんな長年の夫婦の痴話喧嘩に亮と顔を見合わせながら苦笑していると、エプロン姿の菜緒さんがたくさんの飲み物を持って「こっち、こっちー!」と手招きをしているのが見えた。
その声に、みんな口々に「疲れたー!」と言いながらリビングに集まって来る。
時計を見ると、10時半を少し過ぎたところだった。
今日はみんな朝早くから手伝いに来てくれているので、そろそろ疲れも溜まって来ている事だろう。
わたしも、みんなに「ありがとう。おつかれさまです!」と声をかけながらリビングに向かおうとした、その時・・・
最初のコメントを投稿しよう!