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「菜緒っ!オマエはそんな重たいモノ持つんじゃねえっ!」
そう言いながら、亮が血相を変えて菜緒さんの元へ走って行った。
あまりの形相に、みんな一瞬何が起こったのか分からないといった顔で二人を見つめている。
「大丈夫よ、亮。ジュースくらいどうって事ないじゃない。」
「オマエが大丈夫でも、オレが大丈夫じゃねえんだよ。確実に義兄さんに殺されるだろーが!」
「フフっ・・・また、峻さんったら大袈裟よね。子供が出来たからって、このくらい平気なのに。」
「えーーっ!子供ーーーっ?!!!」
知らなかった!知らなかった!私、全っ然、知らなかったーーっ!!!
こんな大事な話、今まで私に内緒にしてたなんて・・・亮ったら、ひどいっ!ひど過ぎるっ!
目に涙を浮かべながら、亮をジーっと睨む私に、菜緒さんが申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、和希ちゃん。実はね、昨日病院に行って分かった事なの。和希ちゃんには私の口から直接伝えたかったから、亮にも黙っててもらったのよ。」
「・・・オレも、昨夜電話で聞いたばっかり。」
「・・・そうだったんだ。菜緒さん、おめでとうございます。私、すごくうれしい・・・」
「ありがとう、和希ちゃん。元気な子供、産むわね。」
突然の告白に、周りのみんなからも一斉に「おめでとー!」と拍手が沸いた。
菜緒さんの瞳には、幸せの涙が光っていた。
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