―第一章死体美学―

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私の友人である江藤は常人には理解できない趣味を持っていた。 その趣味とはネクロフィリアである。 ネクロフィリアとは俗に死体愛嗜であり、死体に好意を持つ人である。 と、私の中で解釈しているが、それ以上のものがあるかどうかは私は知らない、知りたくもないと当初は思っていた。 そんな彼の異常とも言える趣味を知ったのは最近のことだった。本当に最近のこと……。 私は彼とは小学校からの長い付き合いであり、関係で言うと親友であった。 それだけに私はショックだった。心が痛かった。 しかも、親友であったのにもかかわらず、知らなかったのだ。 その見たくなかった事実が露呈したのは、いつも通りの日常の中だった。 彼がいて、私がいる。その中で私達は良く話をした。 政治・経済・法律、それから趣味。 そうそう、目玉焼きはソース派か醤油派か、そんなくだらない話もしていた。 彼の異常さを知ったのは、確か 「犯罪」というテーマで話をしているときだった。
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