―第一章死体美学―

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そして、私は言葉を失った。私が見たものによって……。 それは、死体 私が見たものは、部屋中に張り巡らされた死体の写真だったのだ! 死体と言っても、葬式に出るようなエンバーミングされたものだけじゃない。 ほぼ、何かしら破損や、吐血……。 あらゆる状況下において人が人であることをなくした、 つまり、人の外形を著しく保ってないものばかりだった。 私は咄嗟に視線を外したが、そこにはまた、死体の写真が! どこを見ても死体……死体! 死体! 死体!!! 私の脳内は、死体のイメージで満たされた。入りきらないものは感情となって溢れだした。 「な……、何なんだ、これは……!」 声が思うように出ない、皮膚から嫌な汗がじわじわと私を襲う。 猛烈な恐怖と混乱で、力が入らなくなり、その場にへたりこんだ。
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