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私は彼の顔を見るやいなや、ヒッと声を出してしまった。
もちろん、さっきの事が理由である。
その声を聞いた彼は、少し寂しそうな顔をした。
「……目を覚ましたみたいですね、大丈夫ですか?」
私は黙ったまま、ゆっくりと頷いた。
「すいません、私が驚かせてしまったみたいですね」
単に驚くレベルではない。
江藤は、持ってきた水を私に渡し、トレーはガラスのテーブルに置いた。
そして彼はフローリングの床に座り込んだ。
私も水も飲むために、背を起こし、壁にもたれ掛かって彼の話を聞く体勢をとった。
もちろん、私からも聞きたいことが、いや、聞かなければならない事があるからだ。
「……なあ、江藤……」
「……? 何ですか?」
「あの部屋の事なんだけど……」
「何故、死体の写真ばかりあったのか。ですね?」
どうやら、江藤は私が聞きたいことを察していたらしい。
「あ、ああ、それだ。それが聞きたい」
「わかりました。ではお答えします。私は────ネクロフィリアなんですよ」
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