―第一章死体美学―

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私は混ぜおわったコーヒーを啜り、間をあける。 そして、本当に、本当に思いつきで反論した。それが、彼の未知の部分を知ることになろうとは…… 「思ったんだけど、犯人の理性によるものなら、尚更、殺人シーンや死体シーンが、助長するんじゃないのか?」 彼はフォークをゆっくりと食べかけの皿に置いた。 「なるほど……」 「さっき、影響しにくいといったのなら、全て否定はできないだろう。殺人シーン、死体シーンは残虐性を秘めている、だから感化される……と考えるけどね」 今ならわかる、私は地雷を踏んだ。 死体シーンという言葉を言ってしまったのだ。 その言葉を聞いた途端、彼の顔から血の気が引いていった。顔つきが変わったのだ。
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