―第一章死体美学―

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ジーパンのポケットからクシャクシャになった青色の箱から煙草を取り出して火をつけた。 ため息と共に煙を吐き出しながら、外を見て考える。 死体シーンというワードを聞いたときの、彼の豹変ぶり。 人が変わったようだった。 店の前で吸っていたので、客が入るたびに音がなる。 (日曜日……か……) こっちの了解を得ずに強引に取り決めた日。 よっぽど、私に何かをしたいことがあるのだろうか、さっきの彼はまるで無邪気に喜ぶ子供のようだった。 取りあえず、日曜日は確かに空いてるし行ってみるかと軽く思い、タバコの火を消した。 11月3日 水曜日 午後2:16分の事だった。 そして私──、本多 和樹は日曜日、彼の家に行って後悔することになろうとは思いもよらなかった。
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