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──風が止まる。
外は、もう黒い雲で覆われていた。
「…クーちゃん、"恋するハート"の事は知ってるわね?」
「……!!」
「あなたが本当にニケ君の事を好きなら、恋するハートが使えるはずよね?」
「ククリは…」
「見せてくれないなら私、ニケ君にアタックしちゃうから」
「駄目!!」
クーちゃんが叫ぶ。部屋に響くのが分かる。
「その魔法は…まだ育て途中なの!だから…」
「私の"恋するハート"はもう完成してるのよ」
「ど どういう事…?」
「私がニケ君を好きって事が、自分で分かるのよ」
「………」
どんどんどんどん言葉が出てくる。
段々早口になってきているのが分かった。
「…それが"恋するハート"なのよ、クーちゃん」
「…分かった…ジュジュちゃん、私やってみる」
クーちゃんは杖を握り締めると、床に魔法陣を描き始めた。
「…これが闇魔法最高峰 グルグル…」
クーちゃんはあの時… アラハビカで悪魔から元に戻ったけど
やっぱりまだ分かってなかった。
クーちゃんが描いたのは、大きなハートだった。
そのハートがひとりでに2つに割れた時──
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