2・天使の腹はどす黒い

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「えぇと……それで元の世界が無理だから異世界に転生、ですか。」 「あぁ、はい。貴女の寿命はまだ残っていますし、元々地球ではなくこちらのパシエルドに産まれる筈だったと言う事でそちらの方が都合がよろしいかと。」 「その都合がよいと言うのは貴方にとって、ですよね?」 何人いるかも解らない人の記憶をいじって私を生き返らせるより、私一人を適当に送り込む方が何となくだけど楽そうですからね。 人の人生何だと思ってんですか。 「……世界にとっても、貴女にとっても、です。本来いる筈のない貴女というイレギュラーを抱えたままでは世界がどう転ぶかは予測がつきませんし、貴女もせっかくの質の良いそれだけの魔力が全て病として現れてしまう世界よりも魔法として好きに扱える世界の方がいいでしょう?勿論私の仕事が無駄に増える事がないというのは歓迎すべき事だというのも否定はしませんが。」 「……そんな事言われても。…………ん。」 さっきこの天使は面倒くさいと言った。 それはつまり面倒だけど私を甦らせるのは可能だって事だよね。 でも、私の魔力?が、病として現れてしまう世界……それは元の世界に帰る事が出来ても、私は一生病気が治らず両親に負担をかけ続けるという事? だったら……だったら。
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