2・天使の腹はどす黒い

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「……その、パシエルド?とやらに転生します。」 「ご理解いただきありがとうございます。」 「いえ……」 直後、落ち込む私をよそにクワッ!っと音がしそうなくらい表情を一変させた天使は上司?であろう神様を蹴りあげ、罵りだした。 「そこのクズ。いつまで泣いているんですか、気持ち悪い。さっさと彼女に望むだけのチートな力とやらをお詫びとして差し上げて転生させてあげて下さい。虐め抜いて殺しただけでは飽きたらず自分勝手な都合で待たせ続けるとか、本当に何様ですか?早くしてあげて下さい。そもそもクズと違って私は忙しいんですよ?」 「どうせわしはクズじゃ……っく……存在する価値もなければ益もない。ゴミじゃ……ゴミ生物なんじゃ……ぐすっ。」 「ご自分の事をよく理解出来ているじゃないですか、ゴミ。じゃあさっさとご自分の仕事を済ませて下さいね?私はもう行きますので。……では白石美佳さん、貴女の第二の人生が幸せと共にある事を願っています。」 そして泣き続ける神様を好きなだけ罵倒し終えると、天使はオロオロしている私に気持ちのこもっていなさそうな祝福の言葉をかけ、最初の時と同じように突然消えた。 「……えぇと…………」 「ぐすっ……すまんかった、本当にすまんかった。」 「いえ、もういいですから……泣き止んで下さい。ねっ?」 死んだ魚のような目でしおしおになりながら泣き続ける神様と二人っきりという状況が怖くて、一生懸命慰めてさせていただきました。
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