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……いや、言いたい事は解りますよ?
「コイツバカジャネーノ?」
「何だ、ただの厨二病か。」
「異世界とやらに帰れ。」
私が貴方達の立場ならそう思う。思いきり白い目で見たでしょうし、関わりたくないと足早に立ち去ったと思います。
だけど……ここパシエルドにおいて、私は紛れもなく異世界人なのです。
では私の元居た世界がどこかと言えば、貴方達と同じ。
地球。もっと言えば日本。
生まれつき病弱で人生の殆どを病院で過ごして居た事を除けば、極々普通に生活してました。
優しい両親が居て、あれこれ世話をやいてくれて。
学校にはあまり通えなかったけど、クラスメイトと遊んだ事だってありましたし、勉強もしていました。
私と同じように入院していた同世代の子達と友情を育んで、両親と引き離される事や病気の事で不安がる小さな子には一緒に折り紙を折って遊んであげた。
お見舞いに来る度に両親が図書館から借りて来てくれる本を読み、行った事のない色んな場所に思いを馳せるのが大好きでした。
(※別に両親がケチ臭いわけではないですよ?むしろ私から頼んだ時、潔癖気味な母は「そんな誰が触ったかも解らない図書館の本なんて。」と渋い顔をしましたし。
だけど私は無菌室で育てられなければいけない程の重大な病のつもりはなかったし、図書館や本に罪はないです。
私の本を読む量が異常だった為、毎回買ってると私の帰るべき部屋が本で埋めつくされてしまうだろうし、ただでさえ病気のせいで家計を圧迫している事を申し訳なく思ってるのにアレを読みたいコレを読みたいと我が儘言うのが心苦しいからと説得したんですよ。
と、長くなってしまいましたが両親の名誉の為にも言い訳しておきます。)
「私の帰るべき部屋」の扉を開ける事が二度とないだなんて、この時は考えてもいませんでした。
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