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「……ぁ。っと、来月から私も誇りある聖パシエルド中央魔法学園の生徒なのですから、しっかり自分を律して頑張って行こうかなーと。言葉の乱れは心の乱れ?って奴です。」
「ふむ……それだけか?じゃあ、別に私に不満があったりとか、その、私の家の事……とか、そういうわけじゃないんだなっ!?」
「当たり前じゃないですか。私達、一生の友達なんでしょう?」
「お、おぉ!当然だ!!」
「それにレティーちゃんにだけじゃないですよ?これからは例え父や母であっても丁寧語で話すつもりですからね。」
だって私は、私の本当のお母さんは……お父さんは……。
「そうか!それは随分気合いが入っているな!」
解ってる。私が今考えてるのはとても酷い事。今の両親は何も悪くない。
「えぇ、目指すは知的クール美人です!ミステリアスでキリッとした最年少の賢者になって世界中を飛び回るのです!」
「壮大な夢だな!さすが私の親友だ!!なら私ももっと勉強して、最年少のギルドマスターになって、悪い魔物共をフルボッコだ!ゆくゆくはその強さから帝にだってなってみせる!!」
私の適当な妄言に、ルビーのような瞳をキラキラさせて張り合う可愛らしい女の子。
「あらあらー、二人共凄いわねぇ。じゃあ私は何になろうかしら?」
「ママ殿は国一番のアイスクリーム屋さんがいいと思うぞ!私も毎日買いに行く!」
「それも素敵ねぇ。そうなったら発案者であるレティーちゃんには商品化の為の試食会に付き合ってもらわなきゃいけないわねぇ。」
「むぅ?本当か?ママ殿のアイスクリームならいくらだって食べられるぞ!」
何だこれ……何でこんな…………。
こっちの世界を選んだのは私じゃなかったっけ?
私が読んでた転生物の主人公達はどうやってこんな気持ちを割り切ってたんだっけ?
……そうか。彼らは享年のまま森で倒れてる所からスタートしてたっけ…………ぐ……気持ち、悪い。
お母さん、お母さんお母さん……お母さん。
「…………かぁさ……。」
「っ?カミィ?どうしたの!?」
違う。私の名前はカミィなんかじゃない。
私のお母さんは貴女じゃな……。
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