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「頭では解ってるんですけど……」
目を覚ますと、質素だけれど清潔そうな可愛らしい部屋のベッドの上でした。
「何か、心が追い付かないと言いますか。」
えっと、ここは……私の部屋?みたいですね。
隣に置いてあるでっかい狐の縫いぐるみは何の冗談でしょうか?これ角?尻尾も多すぎませんか?
魔物がモチーフでしょうか?
――――ガチャ
「あら、起きていたのね。もう大丈夫?」
っ!!
「大丈夫……です。」
まだ心の準備が出来てないうちに、よりによって彼女と二人っきりになるなんて……
「…………そう。お父さんは『ちょっと疲れちゃっただけだろう、特に問題はないみたいだよ』って言ってたんだけどねぇ。貴女の様子がちょっと変だったから。」
私が何も言えないでいると、母は困ったように微笑んで、私の額に手を伸ばしてきた。
「熱もないみたいね。ご飯……食べられそう?」
髪を撫でられながら小さく「はい」と答えると、同時にキューッと私のお腹も返事をした。
は……恥ずかしい。
「すぐに準備するからね。」
くすくす笑いながら退室する母と入れ違いにレティーちゃんが顔を出す。
「カミィ……もう大丈夫なのか?」
心配させちゃったみたいですね。
笑ってもう大丈夫だと伝えると、
「そうか!じゃあ、今日は予定通りプールだなっ!」
…………うん?
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