第1章

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「大勢でひとりを襲うなんて卑怯だけど、君たちの方が弱そうだね」 相変わらずニコニコと無邪気な笑みを浮かべたまま、若者が男たちに言った。 容姿にふさわしい美声には、皮肉は感じられない。 思ったままをストレートに言った……そんな響きが声音にこめられていた。 痛いところを突かれてカッと頭に血が昇ったらしく、男たちは声を荒げた。 「何だ、てめぇは!余計な口出しすんじゃねぇよ!」 「私か?私は美織(みおり)だ。よろしく頼む」 自分に向けられる複数の殺気をまったく意に介した風もなく、若者はいかにも楽し気に自己紹介した。 「舐めてんのか、貴様!」 大柄な男が額に青筋を浮かべて、若者に殴りかかった。
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