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「大勢でひとりを襲うなんて卑怯だけど、君たちの方が弱そうだね」
相変わらずニコニコと無邪気な笑みを浮かべたまま、若者が男たちに言った。
容姿にふさわしい美声には、皮肉は感じられない。
思ったままをストレートに言った……そんな響きが声音にこめられていた。
痛いところを突かれてカッと頭に血が昇ったらしく、男たちは声を荒げた。
「何だ、てめぇは!余計な口出しすんじゃねぇよ!」
「私か?私は美織(みおり)だ。よろしく頼む」
自分に向けられる複数の殺気をまったく意に介した風もなく、若者はいかにも楽し気に自己紹介した。
「舐めてんのか、貴様!」
大柄な男が額に青筋を浮かべて、若者に殴りかかった。
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