第1章

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10分ほど歩くと、新宿駅西口に着いた。 私鉄の各停で15分、さらに駅から歩いて10分ほどの所に、朔夜の住むアパートがあった。 木造モルタル2階建ての、何の変哲もないアパートだ。 2階の東端が、朔夜の部屋だった。 鍵穴に鍵を差し込むと、カチリと重い手応えがあった。 珍しく、麗子は来ていないようだ。 ここのところ、毎日のように朔夜の部屋に入り浸っては、夕食の支度をして彼の帰りを待っていた。 正直、朔夜にはそれが少し重く感じられ、つい、仕事の帰りに新宿中央公園に立ち寄ることが多くなっていた。 さっき、駅から歩いて来る途中、ジーンズのポケットに入れておいた携帯が振動したから、麗子からメールがあったのかも知れない。
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