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「メシ作るけど、何か嫌いなもん……」
あるか、と訊こうとして、何気なく足元に視線を落とし、朔夜は、思わず「あーっ!」と大声を出した。
美織が靴を履いたまま、部屋にあがっていたのだ。
「靴脱げよっ、靴っ!」
朔夜が喚くと、美織はひどく驚いたように、目を丸くした。
「靴……脱ぐのか?」
「当たり前だろうがっ!」
「……そうか。こちらでは、靴を脱いで部屋に入るのか」
美織はなおも不思議そうな表情で、ぶつぶつ独り言を言いながら靴を脱いだ。
靴のまま家の中に入る習慣があるなんて、やはり、アメリカかヨーロッパで暮らしていたのだろうか。
それにしては、携帯を知らないのは奇妙だ。
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