第1章

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麗子は、朔夜の勤務先のカフェの常連客だった。 その名の通り、目鼻立ちのはっきりした派手な顔立ちの美人で、性格も押しが強く、勝ち気だった。 麗子に特別な感情を抱いていたわけではない。 ただ、告白してくる女性の中で、1番積極的だったので、断り切れなかった……というか、断るのが面倒だっただけだ。 合い鍵を渡したのも、麗子がしつこくねだるので、つい押し切られてしまったのだ。 朔夜は、その容姿ゆえによくもてた。 カフェに来る女性客の多くは、朔夜が目当てだった。 しかし、朔夜は、21年間生きてきて、1度も女性にときめいたことがなかった。 いや、女性だけじゃない。 同性の友達に対しても、心を許したことがなかった。
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