第1章

5/22
前へ
/439ページ
次へ
朔夜は、3才の頃から孤児院で育った。 3才より前の記憶はない。 孤児院の院長は、何かショックなことがあって記憶をなくしてしまったのではないかと気にしていたが、朔夜自身は、単に幼いから覚えていないだけだろうと、気にもとめなかった。 もともと、愛想がなくぶっきらぼうで目つきが鋭いので、誤解されることも多く、小学生の頃から、同性には何となく怖がられていた。 それでも、友達が何人かはいたが、朔夜はその誰に対しても、心から打ち溶けようとはしなかった。 とっつきにくい奴。 そう陰口を叩かれていることも知っていた。 だが、生来の性格を変えるつもりはなかったし、つるんで行動するのも苦手だった。
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1226人が本棚に入れています
本棚に追加