第1章

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「おい」 ふいに声をかけられて、朔夜はふりむいた。 いつの間にか、14、5人の男たちが、朔夜を取り囲んでいた。 声をかけてきた男には見覚えがあった。 麗子とデートしていた時に、朔夜に絡んできた奴だ。 麗子の元カレで、自分がふられたのは朔夜のせいだと、朔夜を逆恨みしていた。 あの時、こっぴどく叩きのめしてやったので、今宵は大勢の仲間を引き連れて、リベンジしに来たらしい。 だが、自分を取り囲む殺気立った連中を前にしても、朔夜は顔色ひとつ変えなかった。 落ち着き払って、平然と男たちを見返している。 黒々とした切れ長の瞳には、挑発的な光がきらめいていた。
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