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「この前の借りを返しにきたぜ」
麗子の元カレが、憎悪に燃える目で朔夜を睨みつけた。
「まだ懲りないのか。弱い上に、とんでもない馬鹿だな」
朔夜は、小馬鹿にしたような嘲笑を口の端(は)に刻んで、相手を挑発した。
「なっ、何っ?」
男がいきり立つ。
朔夜を取り囲む男たちも、いっそう殺気を漲らせて、ザッと身がまえた。
夜の公園に、緊迫した空気が走る。
だが、朔夜は身がまえようともせず、一見無防備に見える様子で、悠然と佇んでいた。
切れ長の双眸には、相変わらず挑発的な光があった。
「だいたい、元カノに未練たっぷりなんて、カッコ悪いんだよ。いつまでも俺を逆恨みして、馬鹿じねぇの?雑魚が何人集まっても、俺を倒せやしねぇぜ。怪我をしたくなかったら、今のうちにとっとと失せろ」
「野郎っ!」
麗子の元カレが、猛然と朔夜に殴りかかった。
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