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「どうした?もうおしまいか。揃いも揃って臆病な奴ばかりだな。逃げ出すなら今のうちだぜ」
朔夜の瞳が挑発的に光る。
凍りついていた男たちが、カッとなったように、一斉に朔夜に襲いかかった。
正面から、がっしりした体躯の男が、強烈なパンチを繰り出してきた。
身を沈めてそれをかわしざま、朔夜は相手の顎に拳を叩きつけた。
「ぐわっ!」
男の巨体がのけぞって、頭から地面に沈みこむ。
獣じみた咆哮をあげて、左右から同時に、逞しい男たちが殴りかかってきた。
右手の男に顔面パンチを浴びせ、朔夜はほとんど同時に左側の男の腹を容赦なく蹴りあげていた。
「あぎゃあ!」
苦悶の叫びをあげて、男たちが、もんどり打って地面に転がる。
「くっ、くそっ!」
明らかに鼻白んだ様子で、男たちは朔夜を取り囲んだまま、二の足を踏んだ。
その時。
「多勢に無勢か。どっちに味方しようかな」
緊迫した空気にそぐわぬ明るい声が、凛と夜気を裂いた。
「だっ、誰だっ!」
男たちが血相を変えて、一斉にふりむいた。
朔夜も、声のした方に鋭い視線を投げた。
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