第1章 凡人の中の凡人

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───ピピピピ…… 「ちっ、うるせーな」 けたたましい程のアラーム音で目が覚める。 「…くそ、今更バスケの夢なんて」 汗でぐっしょりのTシャツを脱ぎ捨て、毎朝の日課であるシャワーに向かう。 蛇口をひねり、ぬるめのお湯を浴びる。 普段ならこれで目を覚まし、気持ち良くバイトに行ける。 しかし、今日は違った。 なんであんな夢見たんだ? まだ未練があるのか? いや、バスケに未練なんてない。 むしろバスケなんか見たくもない。 あんな夢のないスポーツ、よく今まで頑張ってきたもんだ。 ばかばかしい。 ふと気づくと、長い間シャワーを浴びていたようだ。 「やべっ。遅刻する。」 バスケのことを頭から掻き消すように、頭を振って水滴をふるい落とした。 そして、乾ききってない髪のまま、いつものつなぎを着て、家を出た。
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