12人が本棚に入れています
本棚に追加
車に乗り込み、バイト先に向かう。
しかし、今朝の夢のせいでモヤモヤしたままであった。
「バスケは辞めたんだ。もう考えたって一緒だろ。それに俺もう20になったんだ…」
ひたすら頭から消そうとしたが、つい昔のことを思い出してしまう。
────高校時代。
彼は小学校の頃から毎日練習してきた、たった一つの“武器”で福岡県立宮本高校に入学後、1年でスタメンになり、エースとして騒がれた。
俺の“武器”は無敵だと思っていた。
毎年1回戦レベルの宮本高校は県大会の準決勝まで勝ち上がっていた。
今までの試合で大活躍だった俺は会場で有名になっていた。
「いよいよ準決だぞ」
「宮本高校対博多第三高校かー」
「博多第三が圧勝だろ?」
「いや、宮本には期待のルーキー、黒澤 朱鷺(クロサワ トキ)がいるんだ」
「あー、朱鷺はすげー。」
俺は調子に乗っていたのかもしれない。
博多第三高校と闘うまでは。
最初のコメントを投稿しよう!