Hunt 1

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「お前、クビ!!」 出勤してわずか30秒。 世界新記録も夢ではないタイムでの宣告だった。 まさに早技!!俺も見習わなければ。 「え、何て?」 あ~、ダメだ遅い。 返すまで10秒かかってしまった。 これでは、オリンピック選考会で選ばれる確率は0に近い。 しかし、諦めんぞ!! やれるだけのことを全力でやってやる。 必ず日本代表として表彰台に登ってみせる。 「明日から来なくて良い。そう言ったんだよバカ!!」 ば…バカな…!!俺の夢がこんな所で潰えるなど… 「いい加減にしろ!!いつまで続くの、このお前の思考の文章化は!?何どうでも良いこと延々と考えてんだよ!!真面目に話を聞け!!」 「いや、こうしたら気が紛れるかな~、って」 「紛れねぇよ!!鬱陶しいだけだろ~が!!」 お怒りの山中部長の声が響き渡った。 大阪都葉曳野市警察署 今俺がいるこの街唯一の警察署だ。 何故俺がこんな所にいるかだって? フッ、そいつは言えねぇなぁ。 語って聞かせる様な話ですらないしな。 まぁ、それでも強いて言うなら…… 「俺が警察官だからかな!!」 勢いよく振り返り親指を立てて決めポーズをとる。 決まった。なんてカッコ良いんだ俺!!写真集でも出しちまおうか? 「何ニヤニヤしてんだお前?ついに頭がおかしくなったか?」 「聞いて下さいよ部長!!俺決めました、写真集出します!!」 「え!?何で!?」 「だって売れそうじゃないっすか!!下手すりゃテレビからオファーが殺到して、女性のファンからラブレターが大量に!!ムフフフフ……」 「何を下らんことを考えておるのだバカモン!!お前の写真集など誰が欲しがるか!!」 「いや、案外レトリバーに大ヒットってことが…」 「いや、犬じゃん!!最早、人間買ってねーだろ!!つーかレトリバーどうやって買いに行くのそれ!?」 「申し込みで自宅へ無料配達しま~す」 「宅配便で!?現代的過ぎだろ!!」 「犬の世界も日々進歩を遂げているのさ!!」 「知るかぁぁぁ!!」 と、部長の飛び膝蹴りが俺を襲う。 逃げろ俺!!あれを食らったらいくら俺と言えど…… 止めるな。こいつは俺の闘いだ!!俺は逃げねぇ!! 意地張ってる場合じゃね~だろ!! だとしても、俺は…俺は… 「退くわけには…いかなゴフゥ!!」 ちんたらミニ芝居をしていた為、完全に回避するタイミングを失い部長の蹴りが顔を直撃した。
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