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後方に吹き飛ばされた俺は、机に勢いよくぶつかった。
後頭部を強く打ったのか、頭がグラグラする。
そう、まるでバランスのとれていない積み木の様な物だ。
頭の上をヒヨコが何匹か飛んでいるのが分かる。
ん…こっち見た?
え、何!?何でそんなに見つめてくんの?
何か俺の顔に付いてる?
え…ちょ…無茶苦茶見つめてるよ!!穴が空く程見つめてきてるよ!!
何その澄んだ瞳!!まるで俺の全てが見透かされそうな…
いやいや、ないない。そんなわけない。
きっと俺が珍しいんだよ。見たこともないヤツがいるから、興味あるだけだよ。
…………おい、いつまでこっち見続けてるつもりだ?
………え、何?俺何か悪いことした?
ハッ、まさか3日前に部長のプリンを黙って食べたからか!?
それを見ていたこのヒヨコ達が、俺を非難してるんじゃ………
チッ、ならばこのヒヨコ達を始末するまでだ!!
たかがヒヨコ数匹、『3丁目のカブトバスター』と呼ばれた俺の敵では無いわ!!
さらばだ、幼きヒヨコ達よ!!
ッ!!
な………何だ………この、暖かい視線は………
バッ…バカな!!たかがヒヨコごときが俺を受け入れると言うのか?
腹が減ったと言う理由だけで、部長が食べるのを楽しみにしていたプリンを食べた挙げ句、机の上に放置して焼き肉を食べに行ったこの俺を!?
止めろ、そんな目で俺を見つけめるな!!
俺は罪を犯した!!裁かれるべき人間なんだ!!
自らの欲望の為に、他人の楽しみを奪った最低なヤローなんだ!!
止めろ、そんな目で見ないでくれ!!こんな罪深い俺をぉぉぉぉぉ!!
「何やってんだお前?」
山中部長の冷たい視線が俺に注がれていた。
俺は膝を地面に突き頭を両手で抑えつける様なポーズを取っていた。
状況を理解出来ない俺が静かに周りを見渡してみると、警官2人が見てはいけないモノを見てしまったと言う様な表情を浮かべていた。
俺は視線を山中部長に戻し、立ち上がりながら
「っていう劇に出るんですけど、見にきます?」
「行かんわ!!何、さっきまでのアレ!?どう見ても自分の世界に入ってただろ!!マイワールド全開だっただろ!!」
「お言葉ですが部長、私は自分の世界に閉じこもったりしません。常にオープンしてます!!24時間365日、年中無休で!!」
「知るか!!それはそれで、迷惑だわ!!ってか年中無休って、お前はスーパーマーケットか!?」
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