日常から非日常へ

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「何すんだゴラァァァァァ!!」 立ち上がり叫べば驚いた表情をうかべる金髪美人さん。 驚いたのはコッチだっての。 「なかなかお目覚めにならないので……」 「お目覚めにならなかったら撲殺すんのかゴラァァァァァ! 違う意味で二度と起きなくなんだろうが!! 永眠か? 永眠させる気だったのか!?」 大事なことなので二度言いました。 「大丈夫ですよ。此処では死にませんから」 再び『にぱっ』と笑い親指を立ててくるが、棍棒を握り締めたままなので絵面はシュール以外の何物でもない。 ……ん? 此処では死なない……だと。 「どーゆーこった?」 深呼吸を一つ。荒ぶる気持ちを落ち着けて金髪美人さんに問い質す。 「それでは説明させて頂きますね」 手に持った棍棒を後ろに投げ捨て両掌を前で合わせるように組むと金髪美人さんは軽く一礼。 「私はラファエル。貴方を担当させて頂きます熾天使です」 改めて金髪美人もといラファエルを見れば、確かに天使と言われても疑いを持てないような容姿をしている。 流れるようなサラサラの絹糸のような金色の髪に端正な顔立ち、全体的にラインは細く華奢と言っても差し支えないのに一本芯が通ったような立ち居振る舞い、女性を象徴する部分は……うん、一部の人にはステータス、希少価値らしいから突っ込みはしない。 「何か失礼なこと考えませんでしたか?」 「メッソウモナイ」 心でも読めんのか? 「それでは改めましてーーご当選おめでとうございます。白石葵(しらいし あおい)様、私達は貴方を歓迎致します」 もう綺麗可愛いのは分かったから、その『にぱっ』て笑顔をやめい。 惚れてまうやろ。 「当選って何だ? 懸賞なんて送った覚えが無いんだが」 俺は宝くじや懸賞なんて非生産的な物には手を出してない。 下手に懸賞サイトなんぞに登録しようもんなら、その日から迷惑メールの嵐が俺の携帯を襲うだろうからだ。 「あ、それは此方で一方的に抽出してランダムに抽選しましたので」 それは一般的に言う悪徳商法と同じ手口ではないのか。
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