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ー何年も前の事なのに、私はその日だけ、生々しく、鮮明に覚えている。ー
「ママー!!」
どてどてどて……と、あどけない足音をたてながら走ってくる。
「見て!!」
小さな手のひらをパカッと開けた。
その中には…
「あら、ミニトマトじゃない!できてたのね。」
微笑んでから、
「でも、夢羽はトマト嫌いだったわよね?」
と言うと、
てへっ、と照れてから、
「うん、でもね、このプチトマトはママが育てないと育たないから、すき!!」
と言う。
「夢羽がお水をあげても、育ってくれないもん」
ぶすーっとする夢羽の頭を撫でて、ふふっ、と笑う。
「あのね、もう少し大きくなったら、夢羽も育てる事ができる用になれるんだよ?」
「ほんと??」
「本当よ、そうねー…私がパパの事が好きになった...みたいな事が夢羽に起きたら、プチトマトは実るはずよ。」
「むう、パパのこと好きだよ??」
すると、
「夢羽はパパと結婚するんだもんなー^^」
と、庭から声がする。
「もう、女の話なんだから、パパは入っちゃ駄目だよー!!ね、夢羽♪」
「うん、パパには内緒!!でも、パパとは絶対けっこんする!!」
なんだそれー!!
と、2人は笑う。
夢羽もつられて、
笑った。
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