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いつも通りの朝。
隣で寝ていた君はもういなくて、その代わり二階まで、君の焼いてくれたパンの香りが広がっていて、子どもたちの元気な声で目が覚めるんだ。
体を起こせば、横で君がまだ小さな息子をあやしている。
「いい子ねー。ハリー」
「おはよう、禊」
名前を呼べば君は振り向き、優しい笑顔を浮かべている。
「おはようございます。アーサー」
禊は俺の頬を撫でる。俺は禊の手を引いて、キスをした。毎朝の日課だ。その後から娘のリリーが駆け寄ってきた。
「おはよーパパ!」
「おはようリリー」
勢いよくベッドに飛び込んで来たリリーを俺は抱き締めた。
可愛くて仕方ない。4歳になる女の子だ。
「今日は任務なんですよね?」
禊はベッドの傍で不安げに言う。
「ああ。生徒と一緒にね」
戦場は年を重ねる度に激化し、人間側は圧倒的に不利な状況に陥っていた。
そのせいでリリーを保育園にも連れていけない。外はあまりにも危険なんだ。
俺の異能の血が濃いせいで、やはり子どもたちに力が遺伝してしまったみたいだが、まだ二人には戦える力などない。
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