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「……私も一緒に行けたらいいのに……」
禊は俺の手をギュッと握った。何故か今日の禊はとても不安げで…。
「お前は家族を守っててくれ」
不安に曇る禊の顔に、優しくキスをおとす。
俺は禊の腕の中で大人しくしている息子のハリーを抱き上げた。
「ハリー。おはよう」
愛くるしい笑顔を輝かせながら、俺の顔をペタペタと触る。
最近やっと首が座りはじめてたばかりで、すくすく成長中の男の子である。
俺はその柔らかい頬にキスをした。そして抱き上げたまま一階へ下りる。
リビングにはすでに作ってあった朝食が真白い湯気をあげている。
「ハリーを抱いていて。俺は顔を洗って来るから」
禊にハリーを預け、顔を洗いにバスルームに向かった。寝癖のついた髪をワシャワシャと掻きながら、鏡を見る。だいぶ髭が伸びてきたようだ。
大雑把に顔を洗い、朝食を取りに戻る。
禊がコーヒーを入れてくれていた。
「悪いけど急ぐよ。任務先が少し距離があるんだ」
できたてのパンをかじりながらなるべく急ぐ。
「ええ。わかりました」
禊が少し寂しげにそう呟いた。
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