未来編

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「……アーサー」 禊が後ろから俺を抱き締めた。 俺は禊の頭を優しく撫でながら 「どうした?」 と返した。 禊は口をギュッと強く結び、作り笑いを浮かべた。 「リリーがね、帰ったら本を読んで欲しいんですって。 読んであげてくださいね」 禊はそう言ったが、何だか無理をしているのは見えていた。 「……禊? 任務があっても俺はちゃんと帰ってきただろ? お前たちを残して死んだりしないよ」 禊と向かい合って頬を優しく撫でれば、禊の目は潤み、頬は赤くなっていた。 そして抱き締めあった。 「っ遅刻しちゃいますね。スーツはアイロンかけてありますから」 禊を離すと、俺は手早く準備を済ませた。 スーツに腕を通し、手袋をはめ、玄関に立つ。玄関にはハリーを抱いた禊、その横にはリリー。俺は一人一人抱き締めた。 、image=435331716.jpg
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