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目の前で人が死んだ。
僕が駅のホームで次の電車を待ちながら好きなロックバンドの曲を聴いていたときだ。
そんな僕の前に立つ先頭の中年女性は誰かに電話を掛けていた。
そして、僕と前の人との間に僕と同じように音楽を聴いている帽子を被った男が無理にそこを通り抜けた。
そこで事件は起こる。
その帽子の男性に押され僕は後ろ人の足を踏み、前の女性はホームから落ちる。
そこに運悪く電車が通った。
すぐに悲鳴が聞こえ、駅員が急いでこちらに向かってくる。
駅員が二人揃って来た時には、その駅員に「自殺だー」と叫ぶ誰かがいて、「え、自殺?」なんていうどよめきが周りからも聞こえはじめていた。
「人身事故って小さな災害よね」
これは僕がまだ中学生のとき、電話越しで母が僕に突然言って来た言葉だ。
僕はあのとき、めずらしく仕事から早く帰ってきた父と見たくもない夕方のサスペンスドラマを見ていた。
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