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「やあやあ君、待たせたね」
「別に待ってないですよ」
ふいに、まるで恋人同士のようなやり取りを交わしてしまった。気恥ずかしくなって、思わず先輩から顔をそらしてしまう。
「なんだいそっぽ向いちゃって。やっぱり待たせたこと怒ってる?」
ぐっと顔を覗き込んでくる先輩。その凛々しげな両目と視線が通う前に、僕はまた顔をそらした。
「先輩はもっと自分の性別を考慮した振る舞いをして下さい」
「君それは、私が女らしくないっていう遠回しの悪口かな」
確かに先輩はショートヘアーで、体型はスラッとしているけれど、胸元もスラッとしているから、あまり女らしいとは言えない。
だけどそれは客観的に見ての話であって、僕にとって先輩は間違いなく異性の部類に入る人だ。
なにせ僕は、先輩のことが好きなのだから。
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