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聴こえてきたのは、少し低い声。 明るい声色だけど、落ち着いた印象も受ける。 「もしもし。斉藤さんですか?」 耳に心地よく響くテノール。 「違いますよ。」 違う名字を告げられ、間違い電話ということに気付いた茜は優しく答えた。 思いがけず、お気に入りのリズムを聴いて心が優しくなれた。 とは言っても、島産まれ特有の穏やかさを持つ茜は元来怒るということは稀だが。
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