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翌日茜は、嗣也に薦められた本を頼もうと井上のおばちゃんとこに来ていた。いくつかリストアップしてメールで送られてきた本は、茜が読みやすいように漫画を交えたものや、字が大きなものだった。
引き戸を開けると、店内は銀鼠色の壁紙で少し薄暗く感じる。電球も切れかかっているのかもしれない。
誰の気配も感じないことを疑問に思いつつ、大きな声で茜は呼ぶ。
「おばちゃーん」
「はいよー。」
奥から襖の開く音がした瞬間、テレビの音とともにおばちゃんの元気な声が響いた。テレビに見入っていただけか、と茜は安堵した。
「おや?茜ちゃんじゃないか?」
少し嗄れた声が、顔を覗かせた店主から発せられた。
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